指導を誤った1944年のインド侵攻作戦で五万五千人を失う大敗北を喫した日本軍は、イギリス、インド連合軍に退路を断たれ、ビルマで窮していた。
角美久少尉は、包囲された守備隊を救出するよう下命される。これがこの心理劇の始まりだ。物語は以後、ゆっくりとワニ襲撃事件への無情の道を進む。
多くの部分は心的だ。葛西は兵士の頭、心の内側を描くことを選んでいる。
この本は著者の第二言語で書かれているが、スムーズに読める。ネイティブ・スピーカー編集者の助言を容れればよかったと思われるところが二、三あるけれども、大体は問題ない。