四月の番組改編を終わりほっとしたのも束の間、番組移動に
ともなう各セクションとの調整などで休日も返上の忙しさであ
る。結論のでない会議をボイコット、久方ぶりに蘭とベンジャ
ミンを自宅近くの放送局の野球場に散歩に連れ出すことにした。

　新しく仲間入りした桃子も当然お供である。野球場が二面採
れる広場には人影もなく、散歩のワンちゃんもいなかった。桃
子のリードを離すのは少々冒険ではあったものの、自宅の庭で
はリードを離しても大丈夫だったので、ここは一番、ちょっと
した勝負！！！！！

　土手の草むらで三頭がそれぞれの方向に向いての偵察、その
うち気の強い蘭ちゃんが桃子にフェイントを掛けて誘い始める。

　自宅にきてから殆どものおじらしきものを見せなかった桃子、
果敢に蘭ちゃんの誘いに挑戦。土手からグラウンドそしてまた
土手へと、走れるだけ走る。その後を追い啼きをしながら蘭が
走る。

　ベンジャミンは悠々自適、時折二頭の方を見るものの、蘭の
ひつこさから解放されてほっとした様子。そのうち蘭と桃子の
攻守が交代、あの気の強い蘭になんと桃子が襲いかかっていく
のである。

　ヘッドロックあり、後四方固めありの見事な攻撃ぶりである。
ベンジャミンの時は、蘭の後ろ脚のことが解っているのだろう、
適当にベンジャミンが攻撃を緩めていたようだが、桃子はそう
はいかない。

　二転三転、蘭ちゃんがグラウンドの土の上をころげても、ま
だ攻撃の手は緩めない。首筋を咬みにゆき、耳をくわえようと
する。

　格闘二十分、蘭と桃子の友情は確立されたようであった。冷
たい風が吹いていたものの、陽光は暖かくまぶしいくらいであ
った。