標高四百メートルの山岳公園・五色台の駐車場で、太郎・胡
桃そして権兵衛に逢ってから丁度一年。鬱陶しい梅雨の季節、
実りの秋、枯れ葉の舞、木枯らしと粉雪の寒く冷たい冬、そし
て色とりどりの花の季節・・・・・
ただそこに太郎たちがいる。そして運んで行く食餌を待って
くれている! それだけの、ただそれだけのことで一年が過ぎ
ていった。
雨の日も風の日もそして雪花の舞う白一色の音のない日も、
いつも変わらず全身で嬉しさを表現しながら食餌をしてくれた
太郎・胡桃・権兵衛、コロ・クロ・茶・名無し、そして通り過
ぎて行ったワンちゃんたち・・・
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そんな彼らの澄み切った瞳と、身体全体から匂ってくる優し
さに励まされ勇気づけられて歩んできた一年・・・・・
悲しさと哀しさに押しつぶされそうになりながらも、じっと
見つめる一つ一つの瞳の中にある濁りのない、静かな優しさに
励まされ、時折見せてくれるおどけた仕草に一瞬の安らぎを与
えられて過ごしてきた一年・・・
季節がまわり、時が刻まれていっても、いつもと変わらない
優しい瞳の五色台の野生児たちがそこにいる限り、同じ道を同
じように、哀しみを背に安らぎを胸に抱いて、巡る季節と共に
いつまでもいつまでも歩み続けたい。
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