午前中ペットショップに出かけ、犬缶・ドライフードなどを
購入。クーラーをガンガン回しながら走る。この分だと午後か
らは大変な暑さになりそうであった。
トランク一杯に食糧を買い込み帰宅。そのまま持参用の食餌
作りにかかる。
食パン三キロ、ドライフード四キロそして犬缶二ダース。暑
さのせいであろう野生児たちの食欲も先週ぐらいから少し落ち
ているように思える。
チーズとビーフの犬缶をいつもより多めにドライと混ぜるこ
とにする。少しでも栄養をつけてもらいたいから。
昨夜整備からあがってきた車は快調そのものであった。どう
いう訳か車の通行量がいつもよりかなり少ない海岸沿いのうね
うね道を滑るように野生児たちのところに向かう。
外気温は二十九度を指していた。クロが坂道をキュンキュン
と啼きながら跳び降りてくる。鼻先を手に擦り付けてきて歓迎
の挨拶をしてくれる。コロは不在のようであった。
お弁当売りのおばちゃんが「マアー、こんなにご馳走を沢山貰
って・・私のより美味しそう」とクロに話しかける声を聞きな
がら峠下の茶と名無しのところへ。
ひょっとするとコロがいるかもしれない。しかしいたのは仔
犬二頭だけであった。いつもの時間より三時間も早い給餌であ
る。きっと何処かに遠征でもしているのであろう・・・・・
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太郎たち一家はいつも通りであった。さくらはもうお腹を見
せてじっとしている。胡桃も胡桃の母親のミルクもそうであっ
たように、どういう訳か自然科学館横の住民たちのうちの女性
は人に慣れるのが早いし、甘えん坊である。お腹を撫でながら
胡桃やミルクのことを想い出す。
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胡桃の住居跡には白い小菊のような花と黄色いたんぽぽの花、
そしてクロバーの白い花が咲き乱れていた。自宅のももちゃん
たちの神前に飾って胡桃や太郎たちのことを・・・と思いナイ
フで刈り取る。
食餌が終わって散歩に出かけていた太郎が帰ってきて、少し
離れた木陰からじっと私の方を見ている。車に乗り込んでゆっ
くりとスタートする。バックミラーに同じ姿勢で車の方を見つ
めている太郎の姿が写ったままであった。
何も言わず、じっと座っていた。もう一度峠下に茶たちを訪
ねてみる。いなかった。コロにも遭えなかった。岬の先端でク
ロが見送ってくれた。
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