今日は定例の五色台給餌の日であった。放送局の方は土曜、
日曜の二日間は公休日になっているものの、経営しているゴル
フショップの方はいつもいない私目当ての友人たちが大勢訪ね
てくる日である。
その上新しいクラブセットを一つ造らなければならないとい
う注文も入っていた。何とか夕方には五色台へ出掛けることが
できるものと、のんびりとコーヒーを飲みながらクラブを造る
準備をしていた。
ところがである、そろそろ家に帰って野生児たちの食餌の準
備をしなければと思っていた矢先、クラブ談義の大好きな友人
が訪ねてきたのである。
それも二人も揃って! ショップの二階にある工房でクラブ
のスペックを決めながらの久方振りのゴルフ談義、時間は気に
掛かるし、さりとて友人の話も聞かなければ・・・
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結局、解放されたのは午後六時過ぎ、五色台での給餌を断念
するほかはなかった。
「しっかり働いて稼がないとお前たちの食餌の犬缶が買えない
から、今日はゴメン」
そう心の中でつぶやいて西の方にそびえる五色台を眺める。
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ビュウビュウと音を立てて風が舞う中をベンジャミンと蘭を
連れて海岸公園へ。まん丸い月が東の空に赤く浮かび、西の空
の下には太郎たちのいる五色台が黒い影になっていた。
風が冷たかった。明日は午後から餌代稼ぎの結婚式の司会の
仕事である。夕方六時には帰宅できるであろう。何とか太郎た
ちのところに食餌を運ばなければ・・・・・。
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