昨夜来の雨が夜明けと共に段々と激しくなり、午後に入って からはまさに土砂降りの状態である。一向に止む気配どころか、 益々雨足を強めてゆく。 遅い食餌をそれぞれの小屋の中で済ませた二階堂家の子供た ち。はちは、ちびの小屋に居候を決め込み、しきりにちびの尻 尾にじゃれついて遊んでいる。 大五郎は、このところももの小屋が気に入ったのか、それと も、ももに母親の匂いを感じるのであろうか、ももと同居のこ とが多い。 大粒の雨の中で狭い庭を走ることもできないためだろう、大 五郎とももが一つの小屋で丸くなって午睡をとっている。 |
はちとちびも昼寝の最中である。玲だけが目をしっかりと開 けて私の部屋を見ている。応接間の長椅子の上では、蘭が肘掛 けを枕に、時折隣の部屋の私の様子を窺いながらうとうとと居 眠りを繰り返し、ベンジャミンはベッドの上で昏々と眠ってい る。 しろちゃんは特製の座椅子を改造した専用ベッドから離れる こともなく、昼食のトーストを食べた後、やはり居眠りの最中 であった。 屋根に打ちつけられる雨の音が一段と激しくなってきた。五 色台の野生児たちはどうしているだろうか? |