桜 満 開



4月10日
 わが家の猫の額のような庭にそびえ立っている桜が、五弁の 
花びらをつけられるだけつけて季節を謳歌しています。桜の下
では椿が赤、白、白赤の花を付け、ちびの格好の獲物になって
いるようです。あと一、二週間もするとリンゴの純白の花が開
き始めます。

 十本の大きなリンゴの樹を植えていましたが、今は二本にま
で減ってしまいました。桜の花よりもなお白く可憐な花を枝一
杯に付けて四月から五月の季節を楽しませてくれています。

 五色台も今桜が満開です。山裾を一周している海岸線も桜並
木で覆われ、山頂の胡桃たちの住居周辺も、一面桜、桜、桜と
言った風情です。

 風の音とまぶしい陽の光、時折舞い降りる雪の花と枯れた雑
草しかなかった胡桃たち五色台の野生児の庭には、今やっと温
かく和やかな季節が訪れてくれております。


 五色台の野生児たちと共に桜を眺めながら一刻を過ごすとい
う夢は、春の霞の如く雲の彼方に消え去ってしまいましたが、
心の中の夢を追いかけて太郎と権兵衛そして叶うなら胡桃を捜
しに出かけます。
 昨日里親に出した胡桃の子供の女の子は、無事先方に到着し
ました。真新しいブルーのリードと鈴付きのブルーの首輪、ぴ
かぴかのステンレスの食器、おやつといつも食べていた缶詰と
ドライフードを持って五色台に別れを告げ四国を離れて行きま
した。

「くるみ」という名前を貰い、お風呂も寝るときも一緒という
生活を約束されました。

 廊下は全て絨毯敷きにして滑らないようにして下さるそうで
すし、主治医もちゃんと決めて下さるということです。幸せな
犬生を約束されました。
胡桃の子供〜「くるみ」