局の方に自宅の電話番号の問い合わせがあったという。悪戯
電話が酷いため、電話番号を公開していないためだろう。大抵
は所属しているライオンズクラブか、何かの商品のセールスと
いうことの方が多い。
ただ、気になることが一つだけ。岬のクロちゃんの病状であ
る。一応岬のおじいさんに自宅の電話番号は知らせていたのだ
が、その電話番号はもう使用していない。
急いで自宅に帰り、コンピューターの住所録を検索。岬のお
じいさんの家に電話を掛ける。
「後ろ足がフラフラして、殆ど動かないんです・・・」
応対に出たおばあさんの返事であった。
「よかった! まだ生きてくれている」杞憂に終わった虫の
知らせであった。
食餌も何とかしてくれているらしい。ウィークデーは、自宅
の腕白たちのお相手もしなければならず、日没時間の影響もあ
って思うように五色台へ車を走らせることが出来ない。
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連れて帰って動物病院へ入院させなければどうしようもない
状態なのだろう。しかし、一晩をどうやってすごさせればいい
のだろう・・・。
庭の二階堂軍団がドアの隙間からちょっと顔を覗かせるだけ
で、逆毛を立ててギャンギャンと吠えたてるわがまま娘蘭ちゃ
ん!
その上クロちゃんは自分の信念を決して曲げようとはしない
かたくななワンちゃんである。勿論伝染病であることも仮定の
うちに入れなければならない! 八方ふさがりである。
この躊躇があとで大きな後悔に結びつくこともよくわかって
いる。迷路から抜け出す名案は、ない。何とか時間を創ってク
ロちゃんを病院へ連れて行くこと、これしか方法はないのだろ
う・・・・・
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