ペットショップへ行き、子供も成犬も食べられる、しかもあ
る程度日持ちのする食糧として缶詰を選び、なおかつ保存食と
いうより非常食としてドライフードを選び出した。八頭分の食
餌を作ること、それも二日か三日分である。
どの程度仔犬たちが食べるのかを検分することは時間的にも
できないし、次に給餌にくるときまで何とか十分な量が確保で
きるくらいの食餌量・・・難しいパズルであった。結果は五十
日過ぎの仔犬には見えないくらい大きく育ってしまった。中で
も雄の二頭はどう見ても三カ月以上の大きさになってしまった。
風のない日、陽だまりのなかでダンゴのようになって居眠り
をしている仔犬たちを垣間みるとき、「少々大きく育ったよう
だが栄養は十分だったようだし、ひもじい思いをしなかっただ
けでもいいではないか!」と苦笑いと共に自分に言い聞かせた。
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次の給餌が自分の体力の都合で確定できないことへの不安、
そしてついつい大量の食餌を置いておくことから派生してきた
肥満児の誕生であった。
二日に一度、時には連日の給餌はそれほど大きな苦痛をもた
らすものではなかった。むしろ雨の降る深夜、風の轟々とうな
る寒い日、彼らの上に思いを巡らすことの方が辛く苦しいこと
であった。
一月二十七日、便宜上熊五郎と名付けていた男の子が里親の
元に貰われていった。「くまきち」と名付けられ大切に育てら
れている。
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