昨日も、そして今日も!



1月16日
 成人の日の昨日、担当ニュースを読み終えるとすぐいつもの
五色台へ給餌に向かった。仔犬を育てている胡桃のことがどう
にも気にかかってしようがない。途中、クロとコロの食糧を登
山口近くのおじいさんの家の玄関前に降ろし、パンとグルメ缶
を二個ずつ与える。

 展望台近くの太郎、胡桃、権兵衛たちの住居まで行き、新し
く購入した大型のプラスチック桶にグルメ缶、ビーフ缶、パン、
炊き出しの食餌などを入れ、所定の位置に置く。仔犬たちがぞ
ろぞろ出てきてスープをぐちゅぐちゅと飲んでくれる。

 ビーフ缶とグルメ缶を五個ずつ大型の容器五個に入れ、ドラ
イフード五キロも雨に濡れないところに置きいつもいる太郎や
権兵衛たちが帰ってくるのを暫く待つ。帰ってこない。後ろ髪
をひかれながら胡桃たちに別れを告げ帰途に就く。坂道の途中、
もう少しで県道に出るところで二頭のワン君たちと出会う。
黒と甲斐
 良く太ったビーグル犬くらいのまだ子供のワン君たちであっ
た。捨てられて一日か二日位なのであろう、真っ黒のワン君は
すこしおどおどしていたが、甲斐犬に似たもう一頭は全身を喜
びにして跳びついてくる。ビーフ缶を開けることができないく
らいじゃれてくる。
 何とかあやしながらビーフ缶を三個ずつ食べさせ、付近数カ
所にドライフードを置いて、逃げるようにして帰途についた。
 バックミラーに、おとなしくお座りをして見送っている二頭
の姿が・・・・・申し訳なかった。甲斐と黒と名前をつける。
余り眠れなかった。

 十六日午後十二時、昨日逢えなかった太郎と権兵衛、そして
黒と甲斐のことが頭から離れない。大急ぎでご飯と鳥肉、魚の
あらなどを炊いて貰い、パンなどを持って五色台へ急ぐ。クロ
とコロには逢えなかった。甲斐はどうしてるだろう! ゆっく
りと坂道を登り始めて百メートル、道路脇の斜面、潅木の下か
ら甲斐が昨日と同じように全身を尾にして現れる。雨に濡れて
少し汚れていた。助手席のベンジャミンがしきりに鼻を鳴らす
が、食餌を与えるのが精一杯。元気でいてくれた。
 昨日と同じで食餌を与えることしかできない。尾を振りなが
ら車を見送っている姿がいじらしい。きっと飼い主が迎えにく
るのを待っているのだろう。

 いつもの場所に太郎だけがいなかった。胡桃と権兵衛はベン
ジャミンにまとわりついて甘えている。芝生広場を三頭と共に
一周して太郎の帰りを待つ。仔犬たちもしっかり食餌をしてく
れる。小さな歯がぎっしりと生えていた。

 まだ生後三十六日位しか経っていないのに実にしっかりして
いる。太郎は帰ってこなかった。新しい食餌を用意し胡桃たち
に別れを告げる。

    帰途、甲斐にも逢えなかった。心が重い・・・