黄・緑・青・白



5月23日 快晴微風
 午後二時から五月晴の中を五色台へ! 昨日までのぐづつい 
たお天気とはうって変ってさわやかな風に包まれた一日であっ
た。午前中を大五郎たちと共に庭で過ごし、午後からは定例の
五色台の野生児たちとの一刻である。

 太郎・権兵衛・さくらたち一家はどうしているだろうか? 
茶・名無し・そして子供たちは・・クロとコロは一緒にいるだ
ろうか・・・いろいろと想像しながら淡い青に変りつつあった
鏡のような瀬戸内海を眺めながら登山口へ。

 車で一杯になっている駐車場の片隅で小さくなっているクロ
とコロを見つける。エンジンを切り食糧の入っているのケース
を出すのと同時にクロとコロの二頭がいつものように身体全体
を尻尾にして擦り寄ってくる。

 おとなしく食事が配られるのをじっと待っているはずのクロ
が、今日はどうしたことかガツガツと食べ、逆にコロがおとな
しく食べはじめる。

             *****             

 高く抜けた空一面に真っ白い雲が動くこともなく、ただ浮か
んでいた。峠を下り今度は茶たちの住居へ。窪地に車を止め口
笛を二度三度と吹く。

 いつも顔を出すからすのえんどうの群生している土手の上に
も、ミカン畑にも、茶たちの気配はなかった。何処かに出かけ
ているのだろうか! 今日は逢えないのかも・・・一瞬不安が
よぎる。

 もう一度口笛を吹いてみる。やはりいない! 車のドアに手
を掛けた時、峠の方から茶を先頭に名無し、仔犬たち三頭がこ
ちらに向かって走ってきているのに気付く。

 大急ぎで食事を五つに分ける。仔犬たちはほぼ大五郎と同じ
くらいの大きさに成長している。もう十キロはあるだろう・・

青いからすのえんどうの花が緑の葉の間から精一杯顔を覗かせ
ていた。
 自然科学館横の駐車場は満杯であった。太郎は道の真ん中に、
さくらは潅木の茂みの中に、そして権兵衛は雑草の中からいつ
もの顔を覗かせていた。

 食糧のケースを開けるや否や、さくらと太郎が顔を突っ込ん
できて食べはじめる。樹々の緑が目に染みる。何も変らず、前
回の給餌の時もそして今日も何も違わない。

 仲良く一つの食器に顔を突っ込んでいるさくらと太郎、いつ
も少し離れたところで食事をする権兵衛・・・今度は大五郎と
ベンジャミンを連れてきてやろう!


 さくらの下腹部がかなり膨らんでいる。後二、三週間で仔犬
が生まれるのであろう。また頑張らなければ・・・・・

 一面に咲いている黄色い花を付けたタンポポが、風もないの
に幽かに揺れていた・・・夏がそこまできている。