ゴロは茶とコロの子供!



11月6日
 どうして今まで気がつかなかったのだろう! 峠下の窪地で
給餌しているとき、いつも「ゥワンワン」と言って食餌を催促
していた仔犬がいた。

 口の周りが真っ黒でいわゆる泥棒顔! 胡桃と太郎の子供で
ある大五郎と殆ど同じ時期に産まれた茶とコロの子供が四頭、
窪地で生活していた。

 その内の一頭は車に跳ねられたのであろう、道端で冷たくなっ
ていたのを土手に埋葬した。残った三頭の内の一頭がゴロ君!
間もなく一歳齢を迎えるであろうゴロ君、確かに大きくなって
いる。

 岬のコロと同じか、少し体長が長いぐらいの大きさである。
顔はコロにそっくり、体型も殆ど違わない、勿論毛色も! 
いつも耳にしたエンジンの音も覚えているであろうし、匂いも
記憶に残っているはずである。

 茶と名無しが山裾の窪地から山上の駐車場近くまで登ってき
ていたのにも二回ほど遭遇している。ゴロが巣別れをして山上
の一角に棲みついていたとしても、何の不思議もないことでは
ないか・・・・・・・・・
 岬と山上そして窪地を結ぶトライアングル! その三角形の
中でゴロは生きていたのである。前回ゴロに逢ったとき連れて
いた胡桃そっくりのワンちゃん! ひょっとして胡桃の母親の
みるくの子供ではないだろうかと考えていたが、あながち希望
的想像と簡単に言い切ってしまえないようにも思える。

 不思議な糸で結ばれているのであろうか! 岬を頂点とする
ほぼ二等辺三角形の中に全ての謎を解く鍵が埋め込まれている。

 ゴロが食餌を催促したことも、きちんと前肢を揃え見送って
くれたことも、全て理解の範囲に入ってくる。コロとゴロが瓜
二つであることも、ゴロの目元が何となく寂しそうなのも当然
のことである。


 いつも何か哀しそうな目で見つめていた茶の子供がゴロちゃ
んであるならば・・・・・