第一条 | 目 的 |
この法律は、動物の虐待の防止、動物の適正な取扱いその他動 物の保護に関する事項を定めて国民の間に動物を愛護する気風 を招来し生命尊重、友愛及び平和の情操の涵養に資するととも に、動物の管理に関する事項を定めて動物による人の生命、身 体及び財産に対する侵害を防止することを目的とする |
第二条 | 基 本 原 則 |
何人も、動物をみだりに殺し、傷つけ、又は苦しめることのな いようにするのみでなく、その習性を考慮して適正に取り扱う ようにしなければならない |
第三条 | 動物愛護週間 |
一 ひろく国民の間に動物の愛護と適正な飼養についての関心 と理解を深めるようにするため、動物愛護週間を設ける 二 動物愛護週間は、9月20日から同月26日までとする 三 国及び地方公共団体は、動物愛護週間には、その趣旨にふ さわしい行事が実施されるように務めなければならない |
第四条 | 適正な飼養及び保管 |
一 動物の所有者又は占有者は、その動物を適正に飼養し、又 は保管することにより、動物の健康及び安全を保持するよ うに努めるとともに、動物が人の生命、身体若しくは財産 に害を加え、又は人に迷惑を及ぼすことのないように努め なければならない 二 内閣総理大臣は、関係行政機関の長と協議して、動物の飼 養及び保管に関しよるべき基準を定めることができる |
第五条 | 適正な飼養及び保管-2 |
地方公共団体は、動物の健康及び安全を保持するため、条例で 定めるところにより、動物の飼養及び保管についての指導及び 助言に関し必要な措置を講ずることができる |
第六条 | 適正な飼養及び保管-3 |
地方公共団体は、動物による人の生命、身体又は財産に対する 侵害を防止するため、条例で定めるところにより、動物の所有 者又は占有者が動物の飼養又は保管に関し遵守すべき事項を定 め、人の生命身体又は財産に害を加えるおそれがある動物の飼 養を制限する等動物の飼養及び保管に関し必要な措置を講ずる ことができる |
第七条 | 犬及びねこの引取り |
一 都道府県又は政令で定める市(以下「都道府県等」という) は犬又はねこの引取りをその所有者から求められたときは、 これを引き取らねばならない この場合において、都道府県知事又は当該政令で定める市 の長(以下「都道府県知事等」という。)は、その犬又は ねこを引き取るべき場所を指定することができる 二 前項の規定は、都道府県等が所有者の判明しない犬又はね この引取りをその拾得者その他の者から求められた場合に 準用する 三 都道府県知事は市町村長(第一項の政令で定める市の長を 除き特別区の区長を含む。)に対し、第一項(前項におい て準用する場合を含む。以下第六項及び第七項においても 同じ)の規定による犬又はねこの引取りに関し、必要な協 力を求めることができる 四 都道府県知事等は、動物の愛護を目的とする公益法人その 他の者に犬及びねこの引取りを委託することができる 五 都道府県等は、第一項の引取りに関し、条例で定めるとこ ろにより、手数料を徴収することができる 六 内閣総理大臣は、関係行政機関の長と協議して、第一項の 規定により引取りを求められた場合の措置に関し必要な事 項を定めることができる 七 国は、都道府県等に対し、予算の範囲内において、政令で 定めるところにより、第一項の引取りに関し、費用の一部 を補助することができる |
第八条 | 負傷動物等の発見者の 通報措置 |
一 道路、公園、広場その他の公共の場所において、疾病にか かり若しくは負傷した犬、ねこ等の動物又は犬、ねこ等の 動物の死体を発見した者は、すみやかに、その所有者が判 明しているときは所有者に、その所有者が判明しないとき は都道府県知事等に通報するように務めなければならない 二 都道府県等は、前項の規定による通報があったときは、そ の動物又はその動物の死体を収容しなければならない 三 前条第六項の規定は、前項の規定により動物を収容する場 合に準用する |
第九条 | 犬及びねこの繁殖制限 |
犬又はねこの所有者は、これらの動物がみだりに繁殖してこれ に適正な飼養を受ける機会を与えることが困難となるようなお それがあると認めた場合には、その繁殖を防止するため、生殖 を不能にする手術その他の措置をするように努めなければなら ない |
第十〇条 | 動物を殺す場合の方法 |
一 動物を殺さなければならない場合には、できる限りその動 物に苦痛を与えない方法によってしなければならない 二 内閣総理大臣は、関係行政機関の長と協議して、前項の方 法に関し必要な事項を定めることができる |
第十一条 | 動物を科学上の利用に供する場合の方法及び事後措置 |
一 動物を教育、試験研究又は生物学的製剤の製造の用その他 の科学上の利用に供する場合には、その利用に必要な限度 においてできる限りその動物に苦痛を与えない方法によっ てしなければならない 二 動物が科学上の利用に供された後において回復の見込みの ない状態に陥ってる場合には、その科学上の利用に供した 者は直ちに、できる限り苦痛を与えない方法によってその 動物を処分しなければならない 三 内閣総理大臣は、関係行政機関の長と協議して、第一項の 方法及び前項の措置に関しよるべき基準を定めることがで きる |
第十二条 | 動物保護審議会 |
一 総理府に、附属機関として、動物保護審議会(以下「審議 会」という。)を置く 二 審議会は、内閣総理大臣の諮問に応じ、動物の保護及び管 理に関する重要事項を調査審議する 三 内閣総理大臣は、第四条第二項若しくは前条第三項の基準 の設定又は第七条第六項(第八条第三項において準用する 場合を含む。)若しくは第一〇条第二項の定めをしようと するときは、審議会に諮問しなければならない。これらの 基準又は定めを変更し、又は廃止しようとするときも同様 とする 四 審議会は、動物の保護及び管理に関する重要事項について 内閣総理大臣に意見を述べることができる 五 審議会は、委員一五人以内で組織する 六 委員は、学識経験のある者のうちから、内閣総理大臣が任 命する。ただし、その過半数は、動物に関する専門の学識 経験を有する者のうちから任命しなければならない 七 委員の任期は、二年とする。ただし、補欠の委員の任期は、 前任者の残任期間とする 八 委員は、非常勤とする 九 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し 必要な事項は、政令で定める |
第十三条 | 罰 則 |
一 保護動物を虐待し、又は遺棄した者は、三万円以下の罰金 又は科料に処する 二 前項において「保護動物」とは、次の各号に掲げる動物を いう (一)牛、馬、豚、めん羊、やぎ、犬、ねこ、いえうさぎ、 鶏いえばと及びあひる (二)前号に掲げるものを除くほか、人が占有している動物 で哺乳類又は鳥類に属するもの |
附則抄 | 一 施行期日 |
この法律は、公布の日《昭和四八年一〇月一日》から起算して 6月を経過した日から施行する |
五 罰則に関する 経過措置 |
この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、 なお従前の例による |