ネギ中毒 犬・猫


概    略 ネギの採食によって溶血性貧血を惹起する中毒症
原    因

犬がネギ(タマネギあるいはナガネギ)を摂取するとネギに含まれる有毒成分によってヘモグ
ロビンが酸化され赤血球内にグロビンの不溶性変成産物(ハインツ小体)が形成される
このため血管内で溶血を起こしたり、あるいは脾臓を中心とする網内系でハインツ小体含有赤
血球は容易に捕捉されて破壊されるため貧血が起きる

この有毒成分は骨髄障害も引き起こすといわれている。また、加熱しても破壊されないため、
大量のネギの入ったすき焼きや肉鍋などの残りを給与された犬で発症することが多い

実験的には、煮た中型のタマネギ一個程度、またはそのジュースを連日投与すると、赤血球内
にハインツ小体が出現し、7〜10日目には強い貧血が起こる。この場合、血色素尿は必発で
はない
症    状

1.急性中毒

  1)ヘモグロビン尿・・・通常、タマネギ採食後1〜2日で赤色〜暗褐色尿の排泄を見る
  2)貧血と黄疸
  3)元気消沈
  4)心悸亢進
  5)下痢と嘔吐・・・吐物中にタマネギを認めることがある
  6)脾  腫

2.慢性中毒(長期間、少量のタマネギを給与されている犬に発生する)

  1)貧血と黄疸  一般に軽症である
  2)ハインツ小体および網赤血球の増加
治    療

1.軽症例

  タマネギの給与を中止すると自然に軽快する

2.重症例

  重度の溶血症状を呈した病犬には、糖加リンゲル液(ソリタT3号)30〜50ml/kgの
  点滴、強心剤および利尿剤を投与する

3.輸 血

  貧血が高度Ht値で15%以下の症例に対しては輸血を行う