空地
 soraji     photographs koji nakano         
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わが家は標高400mほどの山間にあり、雨が降ると、眼下に霧が巻きます。

山奥に沸いた水は谷川を流れ、中流域を経て、市街地に注ぎ、海へとたどり着き、

やがて蒸発し、ふたたび山へと帰ってきます。


長い旅をしてきた水。山に霧巻く光景を見ていると背筋が伸びる思いです。

わが家では、すべて山の湧水で暮らしています。冬は水が氷ることもあり、

山を走るイノシシなどでホースの継ぎ目が外れたりと不便を感じることもありますが

自然の恵みをじかに感じられる暮らしにとても感謝しています。


また山には、まだたくさんの闇が残っています。闇は人に恐怖感も与えますが、想像力も与えてくれます。

闇にはさまざまな物語を生む力があるように思えてなりません。

もののけが生きる空間が山には豊富に残っています。


私の祖母は102歳まで生きました。

空に近い土地である、「そらじ」に生まれ、「そらじ」に嫁ぎ、8人を子育てし、

田畑を耕し、炭を担ぎ、80歳ごろからはいろどりをし、94歳まで働き、

その後も元気に暮らしてきました。



山は私にとってばあちゃんの背中そのものです。

そして上勝の美しい棚田や森の中に立つと

先人たちによって脈々と受け継がれてきた

自然への畏敬や生命の息吹そのものを感じ、ゆっくりと、深呼吸をしたくなるのです。