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優しさをもう一度!



 道を歩いている時、お腹を空かせて痩せこけた野良犬に出逢 
ったら貴方はどうしますか? 車に轢かれもがき苦しんでいる
犬を見つけた時、貴方はどんな行動をとるでしょうか! 

 助けを求めすがりつくような眼差しを投げかけている野良犬
たちを棄てておく事ができるでしょうか。

 街の中から野良の姿を見なくなって久しくなります。家庭か
ら出るゴミの分別収集が進み、野良たちの食料調達の方法がな
くなったからです。

 しかし街外れの雑草の生い茂っている広場や、都市近郊の山
裾には、息を潜め、尻尾を垂らして人間に脅えながらひっそり
と生きている野良たちが大勢おります。

 「野良犬がごみ箱を荒らして困る」「汚い」「恐い」等と言
われて片隅に追いやられた、或は棄てられた野良たちには生き
る権利はないのでしょうか・・・・・

 人間によって改良され、人間に従属して生きていくように形
作られてきた犬族、人間の歴史と共に歩んできた犬たちを今私
たちはどう扱っているのでしょうか・・・
様々な疑問が湧いてきます!
 文明が進み、人の心も時代と共に変ってゆきます。しかしど
んなに人の心が変っても、美しいものを美しいと思う人の心は
変わらないはずです。同じ様に、弱いもの・助けを求めている
ものに対する「優しさ」も決して変ってはいないはずですし、
変ってはならないものだと考えています。

 世の中には姿・形の整った美しい人が大勢おります。しかし、
その姿・形の整った美しい人の心が「優しさ」もない、「慈し
みの心」もない醜く恐ろしいものだったとしたら、どうでしょ
うか・・・・・

 生活の利便さと引き換えに多くの物を失ってきたように思い
ます。故郷の緑をはじめ、実に多くの物をなくしてきたのでは
ないでしょうか。そして一番大切な「優しい心」さえもなくそ
うとしています。

 この「五色台の野生児たち」の物語が、動物たちの心を通し
て、私たち人間に「やさしさ」をもう一度教えてくれる小さな
初めの一歩になることを強く願っております。